薄暗い部屋の中、リフィルが机に向かいペンを走らせている。 モンスター図鑑の作成である。 今日は特に入念に注釈を書き込む彼女。何故なら、強敵・アビシオンとの戦闘があったからだ。 圧倒的な強さを誇るアビシオンに、それでも勝利する事が出来たのは間違いなくロイドのおかげであった。 一人で攻撃を引き付け、ヒット数の多い攻撃をガードさせて呪文の詠唱時間を稼ぐ。 ヒット時には吹き飛ばし系の技でダウンさせパーティの態勢を立て直し、回避の難しい上級呪文にはきっちりユニゾンアタックを当てる。 その合間に、傷ついたり倒れた仲間をアイテムで回復し、使う技や呪文の指示を飛ばす。 地味ながら、配慮の行き届いた的確な行動。 「はぁ……」 ため息をつき、ペンを置くリフィル。 クラトスの言葉ではないが、確かにロイドは強くなった。 剣技はもとより、リーダーとして。人として。 そして……男として。 しかしその強さに、度量に心惹かれる度に彼女は胸を締めつけられる。 年の差。 教師と教え子という立場。 種族の差。 コレットの存在。 『大人』の思考が彼女を絡め取り戒める。 どうする事も出来ないのだ、それが現実だ、と。 リフィルは、肩に置かれた冷たい『現実』の手を振り払い、ロイドの事を想う。 近頃特に引き締まってきたように思えるロイドの顔が、自分に向かって微笑みかけてくる。 ロイドは、彼女にそっとキスをし、抱きしめる。 そして彼はそのまま……。 リフィルはそんな事を夢想しながら、自身の秘所へと指を伸ばす。 静かにクリトリスへ触れ、軽く指を捏ねる。 「んんっ」 押し殺した声が漏れる。 彼女は若干前屈みになりながら、衣類の下へ潜り込んでいる指をリズミカルに動かし始める。 声とも息ともつかぬ音と、衣擦れの音だけが響く。 虚ろな瞳にロイドを浮かべ、机に当たって戻ってくる自分の吐息をロイドのそれと夢想し、一心に秘部を愛撫する。 高まる想いと現実とに折り合いをつけられる、唯一の慰め。 このところずっとこう、ね。 彼女の中の冷静な部分が冷ややかに言う。 こんな事をしていても何も解決しないわよ。 『彼女』の忠告にも耳を貸さず、彼女の行為はエスカレートする。 抑えようとしても溢れ出す愛液に、彼女は衣類をはだけ下着を膝まで下ろす。 椅子に座ったまま胸を揉み、その先端を指先でくすぐり、秘部へと指を侵入させる。 「っはぁ、ぅうぁ」 最早声を押し殺そうともせず、自分の中を指でグチュグチュとかき回す。 別の指でクリトリスも愛撫し続け、胸を荒々しく揉みしだく。 ロイドは彼女の中を激しく蹂躙し、荒波のように快感が押し寄せる。 彼女はロイドを強く抱きしめ、絶頂に達さんと行為に没頭し。 「おーい、先生ー」 ドンドンとノックしながらロイドが部屋の外から呼びかけ、彼女は一瞬で夢想の世界から現実へと還る。 「は、はい、どうかしたの?」 とっさに返事をし、寝たふりをした方が良かった事に気付く。 服は完全にはだけ下着を膝までずり下ろし、椅子の上には愛液で染みができてしまっている。 もしこんな状況を見られたら! いいえ、大丈夫よ。 鍵はかけてある筈だし、ドア越しに話を済ませればいいだけ。 『彼女』がそう言って彼女を安心させる。 「あのさ、明日の事なんだけど」 心境を見透かしたかのように、ロイドはドア越しに話し出す。 慌てたすぐ後に安心したせいか、リフィルの中でムクムクと悪戯心が湧きあがる。 「ええ、何かしら?」 そう返事しながら、彼女は着ている物も正さずにドアの前まで移動する。 ドアの向こうにははっきりとロイドの気配。そして声。 彼女はいまだ疼く秘部に指を伸ばす。 先程までとは桁違いの快感が全身を貫く。 僅かな距離にロイドを感じながら、尚向こうからはこちらが見えない。 状況に酔い痴れ、彼女は立ったまま自慰を始める。 ドアの向こうからロイドが何事か話している声が、快楽への甘美な調べとなる。 胸が張り、全身が熱くなり、堪えられない快感が半身を満たしだす。 「……って訳なんだけど。それでいいかな、先生?」 「っあぁ、いいわよ、ロイド」 グチュグチュと自身の内部を指で擦り、溢れる愛液でヌルヌルの指がクリトリスを抓みさする。 口の端からは涎が垂れ零れ、激しく揉みしだいている胸をテラテラと光らせる。 「先生?どうかしたのか?」 声を出せば喘ぎ声になりそうで、問いかけてくるロイドに返事をする事も出来ない。 ガクガクと膝が揺れだし、床にへたり込むリフィル。 そのまま快楽に身を預け絶頂に達する。 リフィルはヒクヒクと体を震わせ、声が漏れないようにしながら余韻に浸る。 「……?ごめん。入るよ、先生」 膝をついた音や普段と違う気配に違和感を感じ、ロイドがそう言ってドアノブに手をかける。 だ、大丈夫。鍵ならちゃんと……。 ガシャ、カチャカチャ、カチッ 彼女が目で事実を確認したすぐあと、鍵の開く小さな音が部屋内に大きく響く。 そうだったわ、ロイドならこんな鍵くらい……。 ガチャ ドアはすぐに開き、ロイドが飛び込んでくる。 彼女が呆然として座り込んでいる部屋の中を素早く見回すロイド。 一回、二回、三回。右に、左に、また右に。 彼の首が振られ、ドアの前・部屋の中央のリフィルの前で目が止まる。 「……え?あれ?先生……うわっ、ご、ごめ」 リフィルの状態に気付くまでにかなりの時間を要してから、ロイドは大慌てで謝りながら部屋を飛び出そうとする。 「待って!」 「え……?」 その背に声をかけ、引き止めるリフィル。 今この瞬間、彼女と『彼女』の考えが完全に一致する。 恐らくこのまま放っておけば、ロイドは適当に勘違いしたまま胸の内にこの事を封じるだろう。 どこかの軽薄男みたいにペラペラ話しまわるような事はない筈だ。 しかしそれでいいのだろうか? そう、これは想いを打ち明ける好機ともとれるのだ。 否。ここで打ち明けねば、自分にもロイドにも何か後ろ暗いモノが残るだろう。 「ロイド……」 目のやり場がなさそうにアチコチに視線を移しているロイドに近づくリフィル。 「こんな姿を見られた時に、こんな事を言うのはどうかと思うのだけれど」 「い、いや、俺、なんにも見てないからっ」 「私は、あなたの事が」 好き、と伝える。 驚いた顔で彼女の顔を見つめるロイド。 「気持ちを抑える事が出来なくて、あなたがドアの向こうにいるのにこんな行為をしていたのよ」 立ち上がり、ほとんど裸の姿をはっきりみせる。 これでいい。 リフィルは心の中で悲しげに独白する。 ここで事実を全て告白すれば、その事実が、彼がこんな姿を見てしまった云々の後ろ暗さを消し去るだろう。 心の負担になるくらいなら、いっそ軽蔑された方がいい。 どのみちこの後、想いが叶う訳はないのだから。 ロイドはリフィルの言葉を聞き終え、無言で彼女に近づく。 ロイドの次の言葉に備え、リフィルは目を閉ざす。 「先生……俺も前から先生の事が……」 そう言って、ロイドはリフィルにそっとキスをし、そのまま抱きしめる。 「……!」 一瞬、驚いて目を開けるリフィル。 同時にロイドの唇が静かに離れる。 「あなた……コレットの事は……?」 「え?別にコレットはただの友達だし……先生となんて比べられないよ」 言って優しく微笑みかけるロイド。 「あ……」 胸が高鳴るのがわかる。 言葉にし難い、なんとも言えない温かさが全身に広がる。 「け、けど、私はこんな格好でこんな事を」 「俺、先生のそんな姿を見ただけで、もうこんなになってるんだぜ」 ロイドはゴソゴソと自分のモノを露わにして、リフィルの手をあてがわせる。 そして彼女の秘部へ自分の指を。 「あぁ、ぅくっ」 想い続けたロイドのビクビクと脈打ち猛るペニスを手に感じ、絶頂から覚めやらぬ秘部を愛撫され、リフィルは快感の声に喉をつまらせる。 ロイドが彼女に挿入っている指を動かす度、身悶えて愛液が溢れる彼女と同じ位ペニスから先走りが迸る。 「先生っ、俺」 「いいわよ……ロイド、あなたのモノで私を貫いて」 ロイドの呻きに、許可というより懇願するリフィル。 ロイドはペニスを秘部に突き立て、一気に侵入する。 「ふぁああぁ!これがっ、うぁ、これがロイドの……」 ペニスを根元まで咥え込み、恍惚とした表情でわななくリフィル。 「先生の……中、すご、気持ちいい」 うわ言のように呟き、ロイドが腰を動かし始める。 きつく締めつけてその全てを味わっていたリフィルは、急に動き出したペニスにその粘膜を露骨に擦られる。 「ぅあ、いいわ、ロイド……気持ちいいわよ、っん、あなたのが、ぁふ、私の中で擦れてるの、が、うっく、ぁはっ」 喘ぐリフィルを、ロイドは抱え上げて更に激しく突き上げだす。 「っ!ぁっく、ふぁ、いい、わ、ああ、もっと、して、激しく、んん、突き上げてっ」 自身も腰を動かしながら、ロイドの耳元で喘ぐリフィル。 腕を回しロイドの背を撫で首筋に強くキスをしながら、うっとりとした目で彼女を激しく蹂躙するロイドの顔を見つめる。 彼女はロイドを抱きしめ、快楽の渦に意識を集中させる。 それがわかったのか、ロイドはより責め手を荒げ自身も絶頂へと登りつめ出す。 「っうくっ!先生っ!」 「いやっ、そのままできてっ!」 腰を引こうとするロイドに足を絡め、ギュッと抱きしめる。 「うあぁあ!!」 ブピュルッ、ビュッ、ビュッ その体勢のまま、リフィルの中に射精する。 「あぁ、ロイドのが、私の中にいっぱい……」 リフィルは射精の感触を楽しみ、快感と法悦に全身を震わせた……。 「なあ、先生ってハーフエルフなんだよな?」 リフィルをその腕に抱いたままロイドが問い、彼女は身を固くする。 「……ええ」 「だよな。って事は……」 リフィルの答えに何事か考え出すロイド。 やはり、ロイドでもハーフエルフと付き合うのに抵抗があるの? 彼女がそう考えだした時。 「ずーっとこのままの先生と付き合えるんだ!へへっ、なんかそれっていいよな」 照れ笑いを浮かべて頭を掻くロイド。 その手がすぐにピタリと止まる。 「……あれ?でも俺は歳をとってくわけだから……いつかは嫌になってフられるのかっ!?」 「フフッ……バカね。そう簡単には離さないわよ」 笑いながら、リフィルはロイドをめいいっぱい抱きしめた…… |