「……静かだな」 「はいな。……きれい」 セイファート観測所からセイファートリングを眺め、キールとメルディが声を漏らす。 「グランドフォールとか、ネレイドとか、そんなのいっそ全部、夢ならいいのに……」 キールが、彼らしくない言葉をつぶやく。 その目には、絶望の色をたたえて。 メルディはセイファートリングから目を離し、キールを見つめる。 「キールがそんなこと言うは、珍しいこと」 「本当にそう思ってる。全部夢なら……傷つかずにすむだろう?」 ガレノスと共に計算した結果、グランドフォールを止めるには僅かな時間しか残されていない事がわかったばかりなのだ。 彼でなくとも、そう思いたくなるだろう。 「……」 メルディは、無言でもう一度窓へ向く。 「全部が夢なら……メルディは、キール達と会わなかった」 小さな声で、本当にか細い声でメルディが言う。 「キールと……こんな風にお喋りは出来なかったよ。夢でなくて、よかったな」 キールがそんな事を言ったのが悲しい風に、彼女は静かに話す。 「苦しいことはあっても、メルディは、今が好きよ。みんなと生きてるから……」 「メルディ……おまえ、すごいよ」 キールはそう言ってメルディへ数歩近づく。 「?」 彼の言葉に、メルディは不思議そうに向き直る。 「ほめてるか?」 「ああ……変か?」 キールも、同じようにメルディの方を向く。 「へん!なぜなら、キールは、いつも怒ってる。それはフツー。だから、今日はとっても、へん!!」 「そんなに……怒ってるか、ぼくは」 うつむくキール。 「けれど!へんなキールは、いいよ。ほめられると、嬉しいよ!」 喜ぶメルディとキールは、しばし見つめ合う。 キールは、迫るグランドフォールの時間への恐怖と、嬉しそうに喜ぶメルディへの思いとがない交ぜになりながら。 そしてメルディは。 「あのな、キール……」 「ん、なんだ?」 「あのな、えっとな……」 モジモジとして、次の句が出ないメルディ。 「何が言いたいんだ?ちゃんと言わないとぼくだってわからないじゃないか」 「……あのな、メルディは……キールと、したいよ」 「なにをしたいんだ?」 要領を得ないといった感じで、キールは更に問いただす。 「んっとな、Hなことしたいよ」 「そうか。Hなことを……って!?ええっ!!」 「メルディは、たぶんきっと、キールのこと、好き。とても、いっぱい好きよ」 メルディはキールにひっしと抱きつく。 「キールはメルディのこと、嫌いか?」 「べ、別に、嫌いなんかじゃ……ない、さ」 潤んだ瞳で下から見上げられ、真っ赤になって他所を向きながらなんとか答えるキール。 「ワイール!ホントか?だったら、キールはメルディとHしよ!」 「だっ、だからっ!どうしてそこで急に話が飛ぶんだ!」 キールは、ぎゅぅっ、と抱きしめてくるメルディから逃れようとジタバタもがく。 「メルディはキールがこと好き。キールも、メルディのこと好き。だからHする。セレスティアンはそれはフツー。キールは頭かたいよ〜ぉ」 メルディは、ゴソゴソとキールのローブの中へ手をのばす。 「こら、バカッ!へ、変なところに手を入れるな!!」 「メルディ、バカじゃないよー!……なんだ。キール、もうHする気になってたか」 あちこちまさぐっていた手がガチガチに固くなったペニスに当たり、メルディは楽しそうにそう言う。 「こ、これは、その……」 「メルディももう我慢できないよ。キールの、咥えていいか?」 問いながらニッコリ微笑み、メルディはひざまずいてキールのローブをたくし上げ、反り返ったペニスに唇を当てる。 「く、咥える……って?」 キールの質問に答えるように、メルディは両手をペニスに添え、その先端をピチャピチャと舌で舐め出す。 カリの裏を指でなぞりながらゆっくりと先端を口に含み、唾液でぬめる舌を亀頭に這い回らせる。 次第に根元近くまで咥えこみ、濡れた唇を強く当てながらまた引き出す。 溢れる先走りを舌で掬い、口内に塗り広げてペニスを唇でしごく。 少し頬を赤らめたメルディは、うっとりと目尻の下がった表情でキールを見上げる。 ビクビクと脈打つペニスを片手でしごき、もう片手で陰嚢を弄ぶ。 既にペニスは限界まで膨張し、快感の渦に完全に飲み込まれている。 咥えるのを止めて、突き出した舌にペニスをグイグイと押し当てられた瞬間、その堰がきれてしまう。 「メ、メルディ!!」 ドピュッ、ビュプル、ビュグッ 一声叫び、ペニスの先端から大量の白濁液が噴き出して彼女の褐色の肌を白く染める。 「バイバ!いっぱいでたな!」 唇から額、更には束ねた髪にまで噴きかかった精液を指で拭い、彼女は楽しそうに言う。 言いながら、拭った精液を口へと運び、チュパチュパとおいしそうに口に含んでは飲み下してゆく。 「……こ、こんな、口でするなんて……レオノア百科には載ってなかったぞ……」 快感の余韻にひたりながらも、キールがつぶやく。 「キール……もしかしてHのやり方、わからないか?」 「バカにするな!それくらいレオノア百科の第3巻に載ってるさ!十分に成熟した成体の男性器と女性器を交合させ……」 キールは意地になって、学術的な性交の説明をとくとくとし始める。 「?……よくわからないけど、わかるんだな?それじゃキール、メルディにもするよ」 メルディはそのままコロンと仰向けに転がり、真っ白のタイツを膝までずり下ろす。 少し足を開いて膝を曲げ、自身の秘部に指をのばしてクチュクチュと弄びだす。 その姿勢のために秘部はむき出しになり、クリトリスを指で弄る様やトロトロと溢れる愛液が丸見えになっている。 それに誘われ、キールはフラフラと近づく。 今大量の精液を吐き出したばかりのペニスは、休む間もなく勃起している。 「なぁなぁ、キール、はよしよぉな」 秘部を弄ぶのをやめ、彼女は両手を広げてキールを迎えようとする。 ペニスを秘部にあて、キールは差し伸べられた彼女の両手に擁かれようとする。 弾けるような小さな水音と共にペニスはズヌズヌとメルディの中へ咥え込まれ、蕩けそうに熱い感触が全体を包み込む。 彼女の喉から歓喜の声が洩れ、その体がガクガクと震える。 キールはそんなメルディを抱きしめ、きつく締めつけてくる彼女の中をペニスで擦りだす。 奥まで突き上げ、激しくピストンさせ、ゆっくりと引き出す。 「ぅんっ、キールの、気持ちいいよ、メルディすごくいっぱい気持ちいいよっ」 波間の木の葉のように押し寄せる快感に翻弄されながら、彼女はキールの頭に手を回し、自身の気持ちよさを伝えようとするかの如く、その首筋に幾度もキスをする。 熱い吐息と唇の熱が執拗に襲いかかり、メルディの甘いあえぎ声が更なる快感を呼び寄せる。 ペニスが出入りする度に溢れ出す愛液が彼女の秘部やそのまわりをベトベトに濡らし、動きに合わせて卑猥な音をたてる。 「メルディ、も、もう、ぼくの方はっ」 「も、我慢できないか?んんっ、メルディの中に出すよ、キールのいっぱいいっぱい出すといいよっ」 メルディはそう言うとキールの唇をふさぎ、舌を差し込んで口内を愛撫する。 同時に彼女の中の締め付けが一際強くなり、肉襞がペニス全体をくまなく包み込む。 「ぐぅっ!!」 ドプドプ、グプッ キールのくぐもった声と共に、メルディの中にたぎる精液がドクドクと流し込まれる。 「ぁはっ、キールの精液、すっごく熱いな……メルディ、とけちゃいそうだよ……」 彼女の中を満たす精液の感触にメルディも全身をわななかせ、二人はしっかりと抱き合って快楽の余韻を楽しんだ……。 「キールぅ、Hするの気持ちよかったか?」 「そ、そんな事、いちいち聞いてくるなっ!」 一通り後始末をし終え、尋ねてくるメルディに怒鳴りつけるキール。 「なんだよー!キールのバカー!」 言われて、両手を振っていじけダンスを踊りだすメルディ。 「あ、いや……その言い過ぎたな、ゴメン……気持ちよかったよ……まったく恥ずかしいやつだな……」 「ワイール、気持ちよかったか?メルディもよかったよ。また今度、Hしよな?」 無邪気に喜ぶメルディ。 「……そうだな。また今度……しよう」 「絶対だよー!」 「ああ、絶対だ!」 念を押して言うメルディに、キールも力強く答える。 その目からは、もはや絶望の色は消え去っていた…… |