英雄の素質



「ねえ、ハロルド。ちょっといいかな?」
地上軍基地跡でイクシフォスラーを改造して遊んでいたハロルドに、声をかけるカイル。
「なになに?解剖でもして欲しいの?」
キラキラと目を輝かせて振り向くハロルド。
既にメスやら工具やらがその手に握られていたりする。
「いや、解剖はちょっと……」
「なんだ、つまんないわね。で?用件は何?」
ハロルドは心底つまらなさそうに言い、工具をどこへともなくしまいこむ。
「その……英雄ってさ、どうやったらなれると思う?みんなから英雄って呼ばれるには、きっと何か条件みたいなものがあると思うんだ」
序盤あたりから抱いている疑問を、恥ずかしげもなくぶつけるカイル。
『わたしだけの英雄』では満ち足りていなかったようである。
そのセリフを聞き終え、ハロルドは大きなため息をつく。
「あんたやっぱりアホねぇ。大体英雄ってなんなの?みんながそう呼んだら英雄なの?それとも世界のひとつでも救ったら英雄?まずその定義からして」
「……やっぱり、ハロルドでも英雄の条件なんてわからないよね。……あーあ、神をも越える頭脳の持ち主でも、無理な事はあるんだ……」
小馬鹿にした口調で講釈を垂れ始めるハロルドに、わざと大きな声で独りごちるカイル。
「……ま、過去に英雄と呼ばれた人間に共通するものは見い出せるわね」
カイルの『天才の自尊心をくすぐる作戦』が見事に成功する。
「あんた、ホントーに英雄になりたいの?」
「うん!オレは絶対に英雄になるんだ!」
ハロルドの問いに、例によって意味もなく力強く答えるカイル。
「あんたに英雄の素質があるか、調べることならできるわ。試してみる?」
「もちろん!!」
「いっとくけど、結果がどうなっても私は知らないわよ」
言って、突然カイルの顔に何かを吹きつけるハロルド。
「なっ……!?」
カイルはその何かを吸い込んでしまい、同時に視界が霞みだす。
意識が遠くなり始め、ガックリと膝をつく。
工具を振るうような音が聞こえる中、カイルは完全に気を失った……。

「……はっ!?」
突然、勢いよく飛び起きるカイル。
「オ、オレは一体……?」
「あら、やっと気がついた?じゃ、始めましょうか?」
何があったのか思い出そうとして頭を振るカイルに、ハロルドがそう言う。
彼女は何故か一糸纏わぬ姿でいて、のんびりカイルに近づく。
カイルよりもかなり小柄な彼女が一歩踏み出す度、その胸が戦闘終了時のポーズよろしくプルプルと震えている。
予想に違わず程よく大きく、しかも形が良い。
思わず知らず手が伸びてしまいそうになりながら、カイルが正気に返る。
「なっ!?こっ!?」
「こっ?ああ、『これは一体!?』って言いたいのね。知らない?ほとんどの英雄に共通するもの、それは力でも知性でもない。この一言に尽きるわ……『英雄色を好む』」
平然と言ってのけられ、時間停止するカイル。
「……信じてないわね」
ハロルドはカイルのモノをムンズと掴み(ここで初めてカイルは自分も裸なのに気付く)、ガシガシと手で擦りあげ、視覚効果にものをいわせて無理矢理勃起させる。
「いーい?色を好むという事は潜在的生命力が強いってことなの。そんなタイプの人間は志半ばで死ぬ、なんて事はなく、意地でも目的完遂する傾向があるわ」
わかるようなわからないような。
得体の知れない理論を展開しながら、カイルのペニスを舌で舐めまわすハロルド。
「だから、」
「うっ、うあぁ!」
ピュッ、ピュルッ
「わっと!?」
亀頭の先を這う熱い舌の感触に耐え切れず、いきなりハロルドの顔に射精してしまうカイル。
口元からとっさに閉じた瞼まで精液で汚され、しばらく彼女の動きが止まる。
「……あんた早過ぎ!」
「そ、そんな事言ったって……」
腹立たしげに言いながらも、彼女はペニスを咥えこむ。
顔から垂れ落ちる精液を意にも介さず、一心に舌を這わせ、唇を滑らせる。
集った血液は解放されることなくペニスを勃起させ続け、彼女の丁寧なフェラに敏感に反応する。
「よし、試合続行できるわね……さ、キなさい」
彼女は寝そべり、カイルを誘う。
「でも……」
恥ずかしそうにモジモジし、一向に動こうとしないカイル。
「今更なに恥ずかしがってんの!?大体、こんな当たり前といえば当たり前の誰もがする行為、恥ずかしがる必要ないでしょ?それとも、意気地がないとか?」
言葉の暴力がカイルを容赦なく切り刻む。
それが彼の闘志に火をつけた。
「っ!見せてやる……貫け!」
斬空天翔剣のボイスと共に、一気にハロルドの中へとペニスを突き刺す。
「ぅあっ……やれば、できるじゃない」
ハロルドが甘い声で囁き、彼女の中がキュッと締まる。
愛液がまとわり、内壁がペニスを圧迫する。
「ぅわあああぁっ!」
トプッ、トプ、トプ
カイルの叫びとともに、彼女の中に熱い液体が注ぎ込まれる。
「……?……またイったの!?」
彼女が驚きの声をあげる。
が、今度はペニスは萎える事無く、カイルは続けて腰を動かし始める。
カイルはハロルドの胸に手を伸ばし、好き勝手に揉みしだきだす。
彼女の中で精液と愛液が混じりあい掻き混ぜられ、それが出入りするペニスの端からポタポタと零れ落ちる。
それらが潤滑をよくし、ペニスは容易く彼女の最奥部まで届き、また入り口まで引き返しては刺し貫く。
「っく、ぁ、はぁ、ん」
彼女はもう軽口を叩くことはなく、こみあげる欲望に従順に快楽を貪る。
自分からキスを求め舌を這わせ、しなやかな指でカイルを愛撫したかと見れば、己が胸を鷲掴む彼の手越しに自身の胸を揉みしだく。
喉から漏れ出る歓喜の声以外は言葉も発さず、幾度も幾度も突き上げてくるペニスを味わう。
奥まで突き上げられる度に彼女は身を反らせ、快楽の坩堝と化した彼女の内部は一層強く締めつけてくる。
「んんっ、うぁ、あっ、も、ダメかもっ!」
ハロルドが叫び、紅潮した頬をすり寄せしがみつく。
火照った肌が密着し、荒い息遣いを耳元で聞かされ、彼女の快感が伝わってくるような錯覚に襲われる。
「ぅく、ああぁっ!」
ドクドクッ、グプッ
カイルは一声叫んで、彼女の中に再び多量の精液を吐き出す。
「あぁ……あ、ぅぁあ」
ハロルドは喉から声にならない声を漏らし、虚ろな目で虚空を見つめる。
まるで、意識がどこか彼方へ飛び去ったかのように。
そんな彼女を目にしてカイルは欲望を抑えきれず、依然衰えないペニスをゆっくりと動かし始めた……

「ぅわあ、っく、またイくよっ!」
ビュプッ、ビュプルッ
虚ろな目で、何もない空間に一人射精するカイル。
その頭には奇妙なヘルメット状のものを被っている。
何を隠そう、それこそハロルドが即席で開発した色欲測定器・酒池肉林君1号である。
そう。
彼は幻覚を目にし、妄想相手に射精を繰り返していたのだ。
「ま、これじゃ『英雄色を好む』っていうより、ただの種馬ね」
実験用のラットを見る目でそれを眺め、冷静にそう判断するハロルド。
「しっかしよくこれだけイけるわねぇ。一体誰とシてる幻覚を見てるのやら……」
射精回数や状況をメモしながら独白する彼女。
「うわ、激しすぎるよっ、ハロルドッ!」
ドピュッ
叫びつつ、再び射精するカイル。
メモを取っていた彼女の手がとまる。
「ホンット淫乱だったんだね、ハロルドって」
とどめの一押し。
「……聖なる意思よ、我が仇なす敵を討てっ!!ディバインセイバー!!」
4本の巨大な雷が乱れ落ち、収束してカイルを消し飛ばすまで、ものの5秒足らずの出来事であった……



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