特別な夜



「……」
先ほどから、温子はじっと下を向いている。
……なんとなく話しかけづらい。
温泉旅館とはいえまだ新しい大型のホテルに泊まる事にした俺たちだったが、中に入ってからお互い口をきいていない。
やはり男女2人同室で宿泊、となると必要以上に意識してしまう。
「えっと、お茶か何か飲む?」
俺は雰囲気を無視して、冷蔵庫に向かいながら話しかける。
「あ、あたしはいいわ」
『…………』
またしても長い沈黙。
「……せっかくだし、楽しんじゃおっか?」
やっと、温子がいつもの笑みを浮かべて話しかけてくる。
「うん、いいね」
すかさず返答する。
「……え?」
温子が顔を真っ赤にして声をあげる。
……ん?あれ?
「そうだね……影二君のおかげで今まで助かってたんだし……ノリ気……あたしだって……」
何かボソボソとつぶやき、
「よし!決めたっ!」
何事か、温子は迷いを振り切ったていで立ち上がる。
そのまま布団の前まで移動し、ボフッと倒れこむ。
「意外とフカフカだぁ。ほら、早く影二君もこっちおいでよ」
呼ばれるままにその横に向かう。
「この布団ちょっと小さいかな?そっちの布団、も少しこっちに引っ張ってよ」
「あ、うん」
俺は布団を引っ張り、温子の布団とぴったりくっつけた。これってやっぱりもしかして……。
「これでいいかな?」
「うん、こんなものね。じゃ、明かり消してくれる?あ、でも真っ暗だとちょっと困るわね」
一人考えこむ温子。
「床の間のライトだけ付ければいいんじゃないかな?」
「そうね、そうしてくれる?」
部屋の明かりを消すと、床の間のライトが思ったより暗い事に気づく。ある程度近くに寄らないとはっきり物が見えない。
「ちょっと暗すぎないかな?」
そう言いながら、温子の横へ座る。
「そう?あたしは結構いい感じだと思うけど?」
よく見ると、温子は既に裸だった。
俺は……、
「綺麗だよ、温子」
と囁く。
「何言ってるの、いいから早くあなたも脱いでよ。あたしだけ裸なんてすっごい恥ずかしいんだから!」
……ムードぶち壊し。
それでもイソイソと服を脱いで、温子の横に座りなおし抱きしめる。
そのまま恋人同士のような甘いキス。
「っぷあ」
唇と唇が離れ、温子が息をはく。
「あの、さ。さっきの……本当?」
温子が聞いてくる。
「何の事?」
もちろんわかってるが、意地悪く答えてみる。
「もう!わかってるくせに!」
「もちろん。すごく綺麗だよ」
ふくれる温子を後ろへ押し倒しながら耳元で囁く。
「あ……」
そのまま首筋にキスをし、静かに舌を這わせて胸まで達する。
可愛い胸の膨らみをなぞるように指を這わせながら、その先端を舌先で弄ぶ。
「んん……」
温子が押し殺した声でうめく。
「両手、上に上げてくれるかな?」
俺は下腹部のあたりをツツ、と円を描くように指で撫でながら注文する。
「う……ん」
温子は言われるままに両腕をあげる。
俺は片手でそれを押さえつけ、温子が切なそうに足をモジモジと動かしているのを確認してから片手を股間へと滑らせる。
「すごく濡れてるね」
「……ばか。そんな事言わないでよね……」
恥ずかしそうに横を向こうとする温子に強引にキスをし、ぐっしょりと濡れたクリトリスを優しく愛撫する。
押さえ込んでいる手にも、くすぐるように指で愛撫をする。
力が入って縮もうとする舌に舌を絡ませ、あくまで無防備な快感を与え続けるようにする。
クチュッヌチュッと互いの舌を飲み込もうとするかのように絡み合いほぐしあう。
「あん、んんあ……むぅ……ふぁあ」
緊張していた腕から力が抜け、少し開いた口から忘我の声が漏れ出す。
唇を離すと、温子は熱をおびた目でこちらを見つめる。
「お願い……来て」
無言で頷き、ガチガチに硬くなったモノを温子の秘部へとあてがう。
「行くよ……」
「……うん」
ツプッ
「くっ……ふあっ…」
温子が辛そうに低く呻く。
とても濡れてはいたが、温子の中はそれも意味をなさない程キツかった。
あふれ出た愛液に目をやると、暗いせいか赤いものが混じっているようにも見える。
「温子……もしかして」
「っふぅ……うん」
意味を察し、少し涙をにじませながら温子が頷く。
「そういえば女の子の一番大切なものあげる、って昔の歌にあったね」
少しふざけていう温子。
「いいよ、もう。あんまり痛くなくなってきたみたい」
無理をしているのか本当なのか、表情や口調から判断ができない。
「……わかった。それじゃいいね?」
「うん」
俺は様子を見るようにゆっくりと動き出す。
キツいが、それでもモノを奥まで咥え込み温子がビクッと震える。
「やっぱちょっと痛い、かな?……けど気持ちいい……」
甘えるように抱きつく温子。
「俺も……温子の中すごく気持ちいいよ」
「んふ……もう、ばか」
どちらからともなく唇を求め、そのまま腰を動かし続ける。
「んんふ……ぷはっ」
「……くっ、うぅ」
お互い囁きあうように小さな喘ぎ声を出しながら、静かに、しかし強く互いの愛情を確かめ合う。
キツい事に変わりはないが、さっきまでより幾分滑らかになっている温子の中。
むしろ締め付けがキツい分その感触がダイレクトに伝わってくる。
唐突に、意識がどこかへ登りつめるような絶頂感。
「くうっ!」
「あああっ!」
ビュグッ、ビュルビュル、ビュクッ
期せず同時に絶頂を迎え、一気に引き抜いたモノから白濁した液が凄まじい勢いでほとばしる!
腹部や胸どころか、温子の顔から前髪までが白濁液に汚される。
「あん、すご……あふ、んむぁ」
温子は恍惚とした表情で口のまわりの白濁液を舐め取り、胸の上の白い水溜まりを指で弄んだ……



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