SPRING IN SPRING



「ふう……」
冷たい風が火照った顔に心地いい。
「大丈夫ですか?」
ターニャが心配そうに僕の顔をのぞき込む。
「ああ大丈夫、もう平気だよ」
まだ少しクラクラする頭を振って答える。
僕は夕食時、ターニャのお父さんが勧めてきたウォッカを一息で飲み干し、一瞬で倒れてしまった。
意識はすぐに戻ったけれど、あまりにも全身が熱いので夜風に当たりに海辺へ出てきたのだ。
口に含んだ瞬間シビれるような刺激に口を焼かれ、慌てて飲み下せばこの世のものとは思えない程喉が焼けつく。
ターニャのお父さんには悪いけど、僕は成人してもウォッカだけは飲まないだろう。
ザァァァァッ
波の音が響く。
「……静かですね……」
ターニャが僕の腕にそっと抱きつく。
「そうだね。夕方来た時よりずっと静かだし、それに綺麗だ」
真っ黒な海に星明かりを照り返す波が現れては消える。
海と言えばホテルや民宿だらけの海水浴場しか思い浮かばない僕の目には、世界で2番目に綺麗なものに映った。
「ターニャ……」
1番目に綺麗な彼女の顔に手を伸ばし、優しく頬を撫でる。
「あ……」
ターニャは目を細め小さな声を漏らす。
僕は顔を寄せ、彼女にキスをした。
唇と唇が軽くに擦れる程度にサワサワと触れ合う。
数回それを繰り返し、自然と舌先を絡めあいお互いの唾液がネットリと舌の上を這う。
更に深く、もっと奥へと下を伸ばし、ターニャの口中に温かく包み込まれる。
「んん、……ぷぁ」
唇が離れると共にターニャが吐息を吐く。
彼女の顔は上気していた。きっと僕も同じだろう。
「愛してるよターニャ」
「私もです……」
ターニャを強く抱きしめる。彼女の髪がほのかに甘く薫る。
「月村さん……」
スッとターニャの手が僕の股間へと伸びる。
「私……もう我慢できません……月村さんを感じたいです……」
ターニャの手がゆっくり僕の股間を撫でる。
「はしたないと……思いますか?」
彼女が上目に尋ねてくる。
僕は……
「そんな事ないよ。僕ももう……」
「ああ……」
ターニャは膝をつき、僕のジーンズを半ばまで脱がせる。
「本当に……すごく苦しそうです……」
彼女の細い指が怒張したペニスを柔らかく包み込む。
ターニャはペニスをしごきながら先端にキスをし、舌を這わせ始める。
彼女の舌が触れている部分に熱い唾液がまとわる。
「あぁ……んむ」
舌をあてがいつつ、口いっぱいにペニスを頬張るターニャ。
口の中で転がすように舌を動かし、濡れた唇でしごきあげる。片手で陰嚢を弄び、口の端から溢れた唾液が彼女の動きに合わせて卑猥な音を立てる。
見るとターニャはフェラチオをしながらも、熱を帯び潤んだ瞳で僕の顔を、いや目を見つめていた。温かく、柔らかい、愛情に溢れた瞳で。
同時に襲いくる肉体的な快感と精神的な快感。
今まで味わった事のない強烈な快楽が僕の脳髄まで突き抜け、それに抗う事が出来ない。
「く、うぅっ!」
ビュッ、ビュグッ、ビュル、ビュル
僕はなんの予告もなしに、ターニャの口の中で果ててしまった。
「んっ、んむぅ」
ターニャは少し苦しそうな声を出したが搾り取るようにペニスを強く吸う。
チュルッ、という音を立てて口を離し、合わせた両の掌の上にトロトロと白濁液を流し出す。
「ああ、すごい……お口だけでこんなにも感じてもらえたんですね……」
ターニャはうっとりとした表情でソレを眺め、やがて掌の上の白濁液をもう一度、舌で少しずつすくい上げて嚥下し始めた。
それは恐ろしく倒錯した光景だったが、不思議と不快な気はしなかった。
少しして白濁液を嚥下し終えた彼女は立ち上がり、フワッとスカートを持ち上げておじぎのような仕草をしてみせる。
「もうひとつのお口にもいっぱい出してくださいね」
ターニャのような可愛い娘に、けれんみなくこんなセリフを言われて反応しない男がいるだろうか?
僕は……
気がつくとその場で彼女を押し倒していた。
「きゃっ!」
彼女が悲鳴をあげる。別に拒絶の意味ではなく、倒れた事への悲鳴だ。
だが、僕はそれにも構わず貪るように彼女の首筋にキスをし、服を強引に肩口から下へと押し下げた。
ターニャの両手が動かせない状態になり、同時に形のいい乳房があらわになる。
吸いつけられるように両手が胸に向かい、強く揉み優しく揉み、先端部をなぞり荒く揉みしだく。
「はぁ、あぁっ、月村さんっ」
ターニャが切なげな声をあげる。
「ああ、ターニャ!」
深いキスをしながら片手を秘部へと伸ばす。
「すごいね。ターニャのここ、すごく濡れてるよ」
クレバスに沿って指を這わせると、それだけでクチュッと淫靡な音が立つ。
「んん、そんないじわるなこと言わないで下さい……」
あながち嫌でもなさそうな口調でターニャがいう。
「ターニャ、もう……」
既にペニスはさっきよりも怒張していた。
「ええ……きて、ください」
彼女も少し恥ずかしそうに答える。
僕は彼女の服を更に引き下ろし、腕を自由にしてあげる。
「いくよ……」
ペニスを秘部にあてがい、ゆっくりと貫く。
「あああっ、くぅ、ぁはっ!」
たまらず声が漏れ出すターニャ。
彼女の中は、愛液で溢れかえっていた。奥まで入れただけで下半身が溶け出したような感触が広がる。
「月村さんの、……が私の中にあります……すごい、すごく熱い……」
彼女が紅潮した顔で僕を見つめながらささやく。
同時に、ペニスがターニャの中で締めつけられる。
「ターニャ……」
僕はゆっくりと腰を動かしだす。
「ああぅあぁ、ふぁあ、くっ、あっ、あっああっ」
ターニャが僕の動きに合わせて喘ぐ。その喘ぎ声が僕の快感を何倍にも増幅する。
「愛してるよ、ターニャ」
「ああぅ、う……私も愛してます……あぁ、んん、もっと、もっと愛してくださいっ!」
ターニャが叫び、両腕を僕の背中に回して強く抱きつく。
それに答えるように僕も彼女を強く抱きしめ、激しく腰を動かす。それに合わせて彼女自身も体を動かす。
下半身どころか全身がドロドロに溶けてひとつになったような錯覚にとらわれる。
「くぅっ、ターニャ!イくよっ!」
「そのまま、そのまま私の中へっ!」
ターニャが僕の腰に足を絡ませる。
「ぐうぅあ!」
一瞬、目の前が真っ白になる。
ドクッ、ドクドクッ
ビュグゥ、ビュッ
さっきよりもたくさんの精液が彼女の中に流れ込む。
「ああぁ、熱、熱い……」
うわ言のようにターニャがつぶやく。
僕はそんなターニャに軽くキスをする。
「これで……ターニャは僕のものだね?」
「ふふ。もっと前からそうでしたよ」
ターニャがクスクス笑いながらそう言う。
僕達は見つめあい、もう一度長い長いキスをした……



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