ピリリリリリッ ピリリリリリッ ……PHSが鳴ってる。 僕は半分眠っている体を引きずって電話にでる。 「ふぁいもしもし」 「あら?もう寝てたの?」 「ああ、薫さん……はい寝てました」 意識朦朧としながら答える。どうも寝込みは弱い。 「そう、残念ね。折角こっちの部屋に呼ぼうと思ってたのに」 「今すぐ行きます待ってて下さい!」 言ってる間に僕は一足で自分の部屋を飛び出した。 「いらっしゃい。早かったわね」 「そりゃあ薫さんの御呼びなら……もしかして酔ってる?」 「かも知れないわね」 薫さんは陽気に答える。浴衣姿のまま窓辺の椅子に腰掛けて、何かお酒を飲んでいる。 少しはだけた胸元がほんのり赤く、もう少しで見えそうなのに見えないというのがまたなんともいえずたまらない。 「どこを見ているのかしら?」 「え?いやあの、アルコールによる血行促進効果の確認を」 「ふふ、そうなの?」 薫さんが立ち上がって、ズイとこっちに寄ってくる。 「それじゃもっとしっかり見ないといけないわね」 ス、と肩口までずり下げる。 薫さんが僕の浴衣を。 「はい、これが通常の状態。ごく普通の肌色をしてるわね。で、こっちがアルコールによって血液循環が促進されている状態」 薫さん自身も同じように浴衣を肩口までずり下げる。 スベスベした肩。柔らかそうな乳房。ぎりぎり見えないその先端。 「血行が促進されて肌が赤みがかっているという事は、その分体温が高くなっている証拠よ」 僕の手を取り、肩へと触れさせる薫さん。 「ほら、熱いでしょう?」 「熱いです……」 そのまま薫さんは僕にもたれかかる。 「あなたの手、冷たくて気持ちいいわ……」 肩に乗った薫さんの顔から、言葉と共に熱い息が僕の耳元にあたる。 「薫さん、かなり酔ってない?」 「そう見える?じゃあそうかも知れない……でも、そうじゃない」 そう言って、薫さんは不意に僕の首筋にキスをする。 熱い唇の感触、そして焼けそうに熱い舌の感触。 唾液をまとわらせながらくすぐるように這い、ゆっくりと離れる。 「ふふふ、熱さのおすそわけよ」 そう言ってニコリと笑う薫さん。 僕は……思わず薫さんを押し倒した。 「薫さん、僕」 「ちょ、ちょっと待って影二君」 薫さんが慌てた声を上げる。 ……しまった!僕はなんて事をしてるんだ! 「すぐそこに布団があるんだから移動しましょう?それとも畳の上じゃないとイヤかしら?」 「薫さん……」 「言っておくけど、酔ったからこんな事するんじゃないのよ。お酒は消極的な自分自身への後押し。ただそれだけ」 「僕だっていい加減なつもりじゃないよ」 「ん…」 僕は薫さんを抱きしめてキスをし、そのまま抱き上げて布団まで移動する。 「見て」 布団に寝そべった薫さんが上半身を完全にはだける。足の辺りはめくれてしまっているので、実質帯の辺りしか隠れていない。 思っていたより以外と大きな胸を自ら揉みながら、潤んだ目でこちらを見る薫さん。 少し開いた口から、ヌラヌラと唾液で光る舌がもの欲しそうに空をなめている。 「ほら……あなたも」 薫さんが誘うように手をこちらに伸ばす。 僕は浴衣を脱ぎ捨て、怒張しきったモノが露わになる。 「うふ、すごい事になってるわね」 薫さんは片手を僕のモノへ伸ばし、握り締める。そしてもう片手は自身の秘部へ。 「あまり見た事ないでしょう?じっくり見ていいのよ」 薫さんは僕のモノを咥えこみながら、手でしごき始める。そうしながらも、秘部を指で押し広げたまま中指だけを器用に動かしてクリトリスを愛撫する。 見た事無いどころじゃない、薫さんのこんな姿。想像すら及ばない実に淫猥な光景だった。 しかもフェラチオをされながらそんなものを見せられたらたまったものじゃない。 達してしまったかと自分で錯覚するほど、ペニスの先端から先走ってしまっている。 「ん……そろそろ限界みたいね。いいわ。来て、影二君」 薫さんはそう言うと、僕を自分の上へと誘導する。 完全にされるがまま、僕は薫さんの中へと挿入した。 「んっ、あ」 静かに、しかし熱い声を上げる薫さん。 何の抵抗も無く奥まで達すると、それまでが嘘のように根元から締め付けられる。 「お願い、ちょっとそのまま……動かないで」 薫さんがささやく。 僕は言われた通り動かず、薫さんと長いキスをする。 「ん。ありがとう……もういいわよ、好きに動いて」 その言葉と同時に、腰が僕の意思と別物のように動き出す。 「あっ、うん……いいわっ、そのままもっと、んあっ」 薫さんが僕の首へと腕を回してかじりつき、あわせて僕も薫さんを抱きしめる。 「んっ、ふうっ、あ……ねえ、そのままで聞いて……んうっ」 喘ぎに混じり、薫さんが言う。 「私、臆病だった、わ、あふ、人を好きになる事で、今までの努力が無駄になるんじゃないかって、だからいつも心を頭で否定してたわ……」 薫さんの中が一段と熱くなる。いや、『ぬくい』と表現した方がしっくりくる。ただ熱を感じるんじゃなく、包み込まれるような温かさ。 「くふっ、うん、けど、あなただけは特別。頭でいくら否定しても、心が叫んでる……」 忘我の境を超えそうな快感が全身を支配する。 「くっ!」 「ぁくっ、あなたの事が、ああっ、大好き!」 薫さんの告白を耳元に聞きながら、僕は絶頂に達した…… 「一人じゃできないもの……」 僕の腕の中で、薫さんがつぶやく。 「にらめっこ……腕相撲……卓球……」 その後を僕が継ぐ。 「そして……恋愛、かな?」 薫さんが笑ってこっちへ向き直り、そのまま唇を重ねる。 「答えはキスよ……ふふ」 笑いあい、僕達は互いをしっかり抱きしめた…… |